プロチーム深夜の脱走 その4
インディアナポリスに来て1週間目、マスコミ嫌いのアーセイ・オーナーをつかまえて、大脱走の真意を聞きただした記者がいます。
「ボルチモアでは去年、シーズン・チケットは2万2千枚しか売れなかった。
市民は、過去の栄光(1958年チャンピオン)を語るだけで、来てくれなくなった」
その点、インディアナポリスは"別天地"。
市民税を増税して完成したばかりの豪華な屋内「フージャー・スタジアム」(6万1000人収容)があります。
チケットも、向こう3年間、毎シーズン4万5000枚が予約済み。
プロスポーツチームのない同市に何とかコルツを招致しようと、極秘に交渉を進めてきた"影武者"がいました。
市長です。
「今だから言えるが、2か月前に7人からなる秘密のタスク・フォースを作り、策を練ってきたんです」と打ち明けたそうです。
この移転劇、市にとっても、収益はもちろん、市のイメージアップなど、十分な計算に立ってのことだったのです。
このインディアナポリスの策略と、ベンチャービジネスの一翼を担うコルツの打算こそ、アメリカの活力の源かもしれません。
アメリカの都市は、独立した細胞のよう。
一部が弱り、国の巨体が風邪をひいても、新しく力強く育つ都市があることを、コルツの移転事件は示しています。